院長コラム › 『沈黙サイレンス』を観た

『沈黙サイレンス』を観た。

マーティン・スコセッシ監督から私は遠藤周作とキリストを教えてもらった気がした。

原作となった『沈黙』は1966年に出版されている。スコセッシは英訳版を1987年ごろに読み、感銘を受け映画化を決意した。スコセッシは若い頃、牧師養成所に通った経歴がある。

以来、28年間脚本を何度も書き直し企画を温めてきた。イメージに形を与えようとする時、その粘り強さは宗教的情熱といっていいだろう。見習うべきだ。

これまで私は、キリスト教を敬遠してきたようだ。キリストが処刑された十字架をシンボルにする凄みは強すぎて恐わかった。

遠藤周作が描くキリストは、弱き者の魂に寄り添い沈黙の声で安らぎと励ましを与える。