院長コラム › ボヘミアンラプソディー

年末に映画がやっと観れた。

私はロック少年ではなかったが、1970年代の青春が描かれていると思った。

私の父親の1940年代の青春は軍国主義と結核につきまとわれていた。

戦争と結核で死なず、父は生き延びて戦後結婚し1951年私が生まれた。

1970年代が私の青春時代だった。時代の困難は感受性の最も鋭い青春時代

に自己実現を求めてくる。70年代はアイデンティテークライシスであり、

モラトリアムではなかったか。私も混乱した。

クィーンのバンドは理系ばかりで、歯科学生、天文学、電子工学がいた。

ボーカルのマーキュリーだけが美術系だった。

このマーキュリーの混乱状態が70年代の青春であろう。

その混乱状態を吹き飛ばす圧倒的な歌唱力でエイズチャリティーライブを大成功に導くシーンは

熱い思いがこみ上げ、涙が止まらなくなる。

イギリスの植民地からイギリスに移住した堅物の父親に当初は疎まれるが、

あとで 抱きしめられるシーンも泣かせる。

イギリスは階級社会だが人間の個人の強さが社会を支えている。

この映画の完成度の高さも、個人の強さによるものだろう。