郡中小学校で虫歯予防のためのフッ素洗口を始めたのは1993年(平成5年)からでした。もう22年もたっているんですね。虫歯が減っているのを大変うれしく思っています。
乳歯が抜けてすべて永久歯に生え変わるのは12歳、6年生の頃です。これで口の中は大人の準備が出来たことになります。そしてみなさんは小学校を卒業します。おめでとう。人間の体と社会の仕組みはうまく出来ていますね。
口の中が体より早く大人になるのはどうしてか分かりますか?みなさんピーナッツを指でつぶせるかやってみて下さい。指に力を入れてもなかなかつぶれませんね。では、歯でかんでみて下さい。ほら、簡単につぶれたでしょう。このように永久歯には強い力があり、かみ砕くことが出来るのです。何でも食べられますね。何でも食べられるから栄養を多くとることができ、大人の体に変わっていけるのです。
もう1つ、体より早く大人になる器官があります。それは脳です。脳は生まれてから1年間で約2倍になります。5歳頃までに大人の脳の90%の大きさになります。脳が大人と同じ大きさになるのは何歳ぐらいか分かりますか?12~16歳です。これは永久歯列の完成の時期とほぼ同じです。歯と脳が先行し大人の体を作っていきます。食べることと考えることが大人の体を作ることがよく分かります。
日本は1868年の明治維新から近代国家を目指しました。約150年ほどたちます。近代教育制度を整え、小学校ではこういうことを教えようと、何世代にもわたり試行錯誤を重ねて教科書を作ってきました。小学校の教科書は日本人の知恵の結晶です。
実は私が学んだ歯科医学も同じです。科学技術の進歩によって新しい様々なことが分かってきました。現在では虫歯や歯周病が全身の病気と深いつながりがある事が分かっています。歯みがきは虫歯や歯周病を防ぐためだけでなく、心と体の健康を守ることが分かってきています。
みなさんも歯みがきを続けて下さいね。大人になってきっといいことがありますよ。
郡中小学校で学んだことは、大人になっても役に立つことばかりです。どうか忘れないでいて下さい。