「群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器に突き進むフリーランスの外科医・大門未知子」のナレーション。「私、失敗しませんから」のきめセリフ。『ドクターX~外科医大門未知子~』を、日本の医療ドラマの三大名作『赤ひげ』『白い巨塔』『ブラック・ジャック』の遺伝子を受け継ぐ傑作だと絶賛すれば、私の見識を疑われるかもしれない。それは主演の米倉涼子さんのマンガじみたデフォルメした演技に惑わされているからだ。
『ドクターX』の脚本家の中園ミホさんは、女性の自立をテーマにしてきた作家だ。2000年、松嶋菜々子さん主演「やまとなでしこ』。2005年、篠原涼子さん主演『anegoアネゴ』。2007年、篠原さん主演『ハケンの品格』。2012年、木村芳乃さん主演『はつ恋』。2014年、吉高由理子さん主演『花とアン』とその姿勢は一貫している。
ヒットするドラマはその時どきの社会に生きる日本人の願望、希望をどこかに反映するから琴線に触れるのだ。
東大医学部で心臓外科を目指す女医の研修生がいる。彼女の同僚、先輩の女医たちは、結婚に無関心でプロポーズよりプロフェッションを指向していると聞いた。
あっ、大門未知子がいる。