10年程前、歌舞伎に興味を持った時に、12代目市川團十郎著『團十郎の歌舞伎案内』PHP新書を読んだ。
青山学院大学での『歌舞伎の伝統と美学』の特別講義に基づき新書としてまとめられている。
記述内容の水準を知るには、自分が最もよく知っている事柄(私の場合は歯科医学)を記述の中から
見つけ出すとよく分かる。本書では「二足歩行と声と」の章で私は驚き、大変優れた知識人だと認識した。
「歌舞伎役者風情」という世間一般の先入観が自由な思考を妨げている。
どの業界でも優れた人物とそうではない人がいるものだ。偏差値で決まる出身大学は当てにできない。
私がまだ大学生だった頃、名古屋のホテルのレストランで海老蔵だった頃の彼を見かけたことがある。
和服姿だった。私は彼の優秀さを直感した。その後30年程して、著書を読み直感の正しさを再確認した次第。
早世を悲しむ。