院長コラム › 漱石山房を訪ねて

新宿区立『漱石山房記念館』を訪れた。

漱石の書斎を忠実に復元した部屋を眺めた。

漱石という作家になる前の夏目金之助は東京帝国大学英文科を卒業したものの、

自分の成すべきことがまだまだ曖昧なままだった。

松山中学校へ英語教師として赴任したのもその曖昧さゆえからだろう。

『坊ちゃん』はその当時をモデルに小説化している。主人公は文字どうり坊ちゃんだ。

その滑稽なまでの真っすぐな江戸っ子気質を日本人は愛したのだ。

今風に解説するなら、「フリーター」や「ニート」に共通している気分だ。

その後の漱石文学に通底するテーマでもある。漱石文学の射程距離は超長い。

漱石の面白さが少し分かりかけてきた。

阿部公彦東大教授もNHKで語っている。