お知らせ › 『吾輩は猫である』は20世紀初頭の時代

1905年(明治38年)に『ホトトギス』1月号から夏目漱石の『吾輩は猫である』の連載が始まった。
その年はどのような出来事があったか、世界史と日本史の年表から選んでみた。
前年に日露戦争が始まっている。アメリカではライト兄弟が飛行機を飛ばしている。

1905年には日本がバルチック艦隊を撃滅し、日露戦争に勝利している。伊藤博文が初代韓国統監に就任した。三越が百貨店を開店した。森永西洋菓子製作所が「エンゼルマーク」を商標登録した。森下南陽堂が「仁丹」を新発売した。エジソンがアルカリ電池を発明した。アインシュタインが「特殊相対論」を発表した。ピカソが「道化師の家族」を描いた。ウエーバーが「プロテスタンテイズムの倫理と資本主義の精神」を発表した。

20世紀初頭になって、人類がホモサピエンスの名の通りその知性で新しい認識にもとづき、現実世界を語り始めたようだ。
夏目漱石は、そんな時代の日本のトップランナーである。
日露戦争の勝利を客観的で冷静に認識している。当時の日本社会では孤立しているが、インテリとは本来そういうものである。